生命保険を決めるにあたり、支払う保険料というのは、契約者する人にとって重要な要因です。
こんな質問を受けました。
生命保険っていろいろあるけれど、どうして保険会社によって保険料が違うんですか?
確かに、企業努力と言えども、それだけではなかなか納得いくものではありませんね。
そこで今回、よくある保険料の誤解と保険料の決まる基本的な考え方を語っていきます。
極端な保険料の違いはどこから生まれる?
例えば、あなたが40歳だとして、1000万円の死亡保険を試算してもらうとします。
Aの保険の月額保険料3000円、Bの保険の月額保険料1万5000円。
極端に保険料が違いますね。
これは何故でしょうか?
どちらも死亡したら1000万円受け取れる保険です。
答えは、保険期間、つまり保障期間にあります。
Aの保険は、保険期間10年=保障期間10年の掛け捨て定期保険。
Bの保険は、保険期間終身=保障期間終身の終身保険。
定期保険とは、ある言って期間のみ保障する保険で、
その期間を過ぎれば保険契約がなくなる保険です。
じゃあ、終身保険というのは?
終身保険は、あなたが生きている間保障する
一生涯保障の保険のことです。
以上のことから、保険期間が違えば、当然保険料は違ってきます。
なので、同じ1000万円の保険金であっても、保険料が極端に違うのです。
保険種類が同じであっても、保険料が違う理由①
生命保険会社には、株式会社と相互会社というものがあります。
株式会社は、通常の会社と同じで株主が出資して運営している会社のことです。
相互会社とは、保険契約者が株主と同じ役割をしている会社組織のことです。
そのことから、相互会社で保険契約している人には、配当金が支払われます。
その結果、相互会社で販売する保険は有配当保険と言われ、若干保険料が高めに設定されています。
株式会社の場合は、配当金を払う必要がないので、無配当保険と言われ、有配当保険より保険料が安く設定されています。
保険会社の会社の種類により
有配当保険、無配当保険と若干保険料に差が出てきます。
保険の種類が同じでも、保険料が違ってくる理由②
保険を契約する際に、契約年齢は重要です。
この契約年齢は、保険会社によって、「保険年齢」で契約する保険会社と「満年齢」で契約する保険会社があります。
わかりやすい方から、説明すると
満年齢とは、今現在の年齢を指し、40歳でしたら、40歳で契約するというものです。
保険年齢とは、6捨7入するという考えかた。
つまり、契約者が、40歳と6ヶ月以下でしたら40歳で契約。
契約者が40歳と7か月でしたら、41歳で契約となるもの。
もっとも、保険年齢を採用している保険会社は、そもそも保険料を設計する計算方式が違うので、一概に高い、安いとは言えませんが、このようなこともあると頭の中に入れておいてください。
現在では、保険年齢方式はわかりにくいということもあり、ほとんどのケースで満年齢方式が使われています。
保険料を算出する基本。どうやって保険料が決まっているのか?
これからは、一般的に言われる保険会社が保険料を決める
しくみについてお話します。
生命保険の保険料は、3つの要素からできています。
ちょっと、教科書的になってしまいますが、
①予定死亡率 ②予定利率 ③予定事業費率
①予定死亡率とは、死亡統計をもとに、男女、年齢により1年間にどのくらいの死亡が発生するかを計算します。予定とは、あくまで将来のことであるためです。
②予定利率とは、保険会社は受け取った保険料を運用します。その将来における運用率を計算し保険料を算出します。
③予定事業費率とは、保険会社の運営にかかる事業コストのことです。
この3つ(予定死亡率、予定利率、予定事業率)を計算して、保険料を算出します。
実際にいただいている保険料の内訳は、純保険料と付加保険料に分けられます。
純保険料は、死亡保険金等の保険金を支払いための積立部分(死亡保険料)と解約金や満期金を支払うための積立部分(生存保険料)の2つから成り立っています。
付加保険料とは、保険会社の事業コストです。
主に、保険料の差がでやすい部分は、運用利回りの予定利率と事業コストの予定事業率になります。
この差が、保険会社によって保険料に差が出る部分と言っても良いと思われます。
保険会社の利益はどこから生まれるの?
通常の会社と同じで、販売量が増えれば増えるほど利益が生まれますが、保険会社の特殊な部分もあります。
それは、「死差益」「利差益」「費差益」から生まれます。
「死差益」とは、予定していた死亡率よりも死亡者数が少なかった時の差です。
「利差益」とは、予定していた運用利益よりも利益がでた場合の差です。
「費差益」とは、事業コストが当初の予定よりかからなかった場合の差益です。
教科書的なことを書きましたが、要は企業努力の部分とすれば、事業コストをどれだけかけずに済むか。また、契約数を伸ばすためのマーケティング力による部分が多いですね。
予定死亡率は、厚生省から発表されているデータから同じように計算するので、それほど差がないと考えて良いでしょう。
利差益は、運用マネージャーの腕もありますが、日本の経済状態にも左右される部分です。
費差益は、外資系保険会社のように、販売するための営業員をもたない、もしくは完全歩合制にすること、もしくは代理店販売に特化させることにより営業費用を抑えているケースが多いので、その分保険料が安い気がいたします。