自営業や社長のための生命保険選びはどれ?

小さな会社を経営しています。銀行の借り入れ等があり、会社の保険を入った方がよいと税理士にすすめられました。個人的には生命保険に入っており、私が亡くなっても家族には迷惑をかけないと考えています。会社の保険って必要なのでしょうか?教えてください。

なるほど、そうお考えになるのももっともです。2重に保険に入るということですものね。

結論から申し上げますと、法人保険は会社の存続のため、従業員のために入るべきだと私は考えます。ただし、目的にかなっていないものは入る必要がありません。

個人保険と法人保険は、保険種類も内容も同じで、特に個人用、法人用と区別はありません。ただし、保険に加入する目的が違うので、ほとんどの保険会社は個人用と法人用に区別してパンフレット等を作成しています。

しかしながら、先ほども述べたように保険は個人用、法人用という区別は特にありません。

今回お話しする内容は、法人が契約する際に注意すべき保険契約の仕方について述べていこうと思います。

法人保険の目的概要1

会社と個人では、お財布た違います。

会社で契約した保険の受取人は会社になり、会社のために保険を契約したものとみなされます。

昨今、コロナウイルスで資金繰りがうまくいかず倒産する企業も出てきました。

倒産とまではいっていませんが、航空産業は非常に苦しい状況が続いています。

どうしてそう苦しくなるのかというと、売り上げが入ってこない時期が2、3か月も続くと、燃料代や空港賃料ほかもろもろの経費がダダモレの状態で消えていくからです。

簡単に言うと高コスト業態なので、そうなってしまう。

飲食業はどうでしょうか?

これも入ってくるお金が製造業と違い小さいので、家賃、人件費にしめる割合が高い。

よって、同じように高コスト業態なのです。

もし、このような状態になっても潤沢な資金があれば、会社を存続させることはできます。

だいぶ保険の話とはずれてしまいましたが、実は法人保険は社長が亡くなったというケースでも使えますが、緊急資金対策という意味合いでも使うことができるのです。

ある社長がこんなことを話してくれました。
「ある時の100万円は大したことないが、会社にお金がない時の100万円はものすごく助かる」

だれしも、順調に事が進んでいれば、お金の問題はあまり考えなくてもよいのかもしれません。しかし、何かのトラブルに巻き込まれて急にお金が必要になったときは、お金をかき集める必要がでてくるでしょう。

苦労をされている社長は、普通の人よりもお金に苦労されている方が多いです。

ここで会社が生命保険に入る目的を箇条書きにします。

  • 会社の借入金担保のため
  • 会社の緊急資金捻出のため
  • 事業継承のための株価対策のため
  • 従業員および社長の退職金づくりのため
  • 雇用の確保のため

生命保険を使った資金防衛策

会社の社長の頭の中は、売上確保と資金繰りにつきます。

生命保険の中の死亡保障保険は、社長の万が一があった場合の借入金返済原資というのはわかりやすいものだと思います。

その生命保険の死亡保障の中には、貯蓄性も兼ね備えた生命保険もあります。
いわゆる掛け捨てでない保険です。

だいたいにおいて、生命保険を契約する際には、貯蓄性を兼ね備えた終身保険や長期の定期保険の場合、何年後にいくらたまるかがわかる解約払戻金明細を提示されることでしょう。

この解約払戻金が、会社にトラブルが生じ、お金を必要とするときに使われます。

当然、その保険を解約すれば保障はなくなりますが、新たに保険に入り直せば済む話なので、急な資金が必要な場合は有効な手段といえます。

また、解約しなくてもたまったお金を使うことができます。それは契約者貸し付けです。金利はかかりますが、解約にともなう仕訳がないので、雑収入や雑損失などの法人税にかかわる仕訳は発生しません。

この資金をためておくという保険は「終身保険」と「長期の定期保険」があります。

「終身保険」は資産性があるため支払保険料が資産計上されますが、解約時には雑損失が発生しますので後から経費計上する形となります。

一方「長期の定期保険」は長さにもよりますが、一部、支払保険料は経費計上され、解約時には雑収入という益金が発生します。緊急融資という意味合いと利益調整という意味合いがあります。

内部留保を使ったダム経営

会社を運営する上において、潤沢な資金はあるにこしたことはありません。

松下幸之助さんがかつてダム経営理論を提唱されておられました。

潤沢な資金をためる順番は、1番目に税引き後の内部留保をためること。内部留保でしたら、税務署に文句言われる筋合いがありません。
また、上場企業でなければ株主にも文句言われるものではありません。

次に考えるべきものが、中小企業庁が提唱している倒産防止共済の加入です。

この倒産防止共済は、支払共済金が(税引き前)全額経費計上でき、手形のトラブルなど万が一のトラブルが生じた際に、連鎖倒産しないよう資金を無利子無担保で借りられる制度です。
詳しくは、下記の記事をお読みください。

そして、最後に生命保険を使って、まさかの資金を確保すると考えます。

医療保険やがん保険は法人契約する必要性は?

あなたの会社が、従業員のことを考え、社会的にも一流の会社と認めてもらいたいならば、取り組んだ方がよいでしょう。

大企業と中小企業の差は福利厚生の充実に出ます。

医療保険やがん保険は、入院・治療に対する保険です。保険金の受取を会社にすると福利厚生として扱われ、全額損金計上となります。

医療保険やがん保険は、主に従業員のために契約するケースが多いです。

社員は家族と同じ。ともに喜び、ともに苦労をする。

日本の場合は、終身雇用が大分くずれてきてはいますが、まだまだ、一生にわたって雇用を守るという傾向にあります。

病気になっても、会社が従業員とその家族を守る。

そんな姿勢のある会社に人は集まります。

中小企業の場合、新規雇用がなかなかうまくできない状況で、福利厚生の充実は会社をアピールするチャンスです。

契約する場合は、全員一律同じ保障で全員加入の必要がありますので、ご注意ください。

退職金づくりを生命保険で考える

生命保険は、生命保険の貯蓄性を利用し、社長、従業員の死亡退職金および通常の退職金を作るのに適しています。

通常、退職金原資は税引き後の預貯金にたよるケースが多いでしょう。

しかし、生命保険の種類の養老保険を使うことで、支払保険料の半分を経費計上することが認められています。これをハーフタックスプランと言います。

簡単に言うと、養老保険は、満期の時に保険金と同じ金額を受け取ることができる保険です。郵便局の簡易保険と言えば、ピンとくるのではないでしょうか。

普通、貯蓄性のある保険は支払保険料が全額資産計上されるケースが多いのですが、全従業員加入という形であれば、税法上福利厚生扱いとなるため、支払保険料の半分が経費として認められています。要は節税しながら退職金がたまると考えればよいでしょう。

昨今、日本人が長生きするようになり老後の資金に注目を浴びています。会社としても退職金はいずれ払わなければならない隠れ債務です。

なので、少しでも早い時期から、このハーフタックスプランをご検討されることをおすすめします。

ハーフタックスプランについて詳しくは下記をご参照ください。
ちょっと詳しすぎてわかりずらいかもしれません。

中退共があるから、という方もいらっしゃるでしょう。

中退共は、支払共済金が全額損金計上でき、退職金もたまる。まさに退職金のための共済と言えます。

デメリットは、会社側が不慮の事態で資金ショートに陥った時、そのためているお金を使えないということと、もし従業員が会社に損害を被らせた場合も、退職金を支払わねばならないといった点です。

ハーフタックスで退職金を組むか、それとも中退共で組むか、どちらも善しあしがありますので、割合を考えて両方組み合わせるのが良いかと思います。

中退共について詳しくは下記の記事を参考にしてください。

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